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【アマビエブックス #20】小谷充『市川崑のタイポグラフィ 「犬神家の一族」の明朝体研究』

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穂崎萬大。こすぎナイトキャンパス企画運営担当。本の燕居堂店主。

友人|Yさんのtweetで、久しぶりに映画「獄門島」の予告編を観ましたが、それを見ながら、あることでついうっとりしていました。
そのうっとりとしたところは、市川崑明朝体ともいわれるテロップです。

庵野秀明の映画テロップでもお馴染みのあの明朝体、「庵野明朝体」あるいは「エヴァ明朝」ともいわれるあの極太明朝体は、市川崑明朝体へのオマージュとか。黒字に白抜きの極太明朝体、それをさらにL字型に配置したビジュアルは、庵野秀明の市川崑にたいするオマージュと庵野自身が公言してはばからないと、著者は言っています。
庵野明朝についてはこう書かれています(改行は引用者)。

『新世紀エヴァンゲリオン』のサブタイトル書体は「マティスEB」(一九九四)。
日本語のデジタルフォントが欠乏する状況をいちはやく察知して、一九九〇年に香港から市場へ参入したフォントワークス社とデザイナー佐藤俊泰が共同開発した書体である。庵野秀明は監督デビュー作『トップをねらえ!』の予告映像において、混植組版を解くまでにはいたらなかったが、“いわゆる市川崑明朝体”が石井特太明朝体であることをつきとめ、これを採用したオマージュ表現をおこなっている。
したがって市川崑が好んで用いた明朝体を知りながら、『新世紀エヴァンゲリオン』では意図的に肉太の別書体を使っているわけである。マティスEBを徹底して用いる関連商品のありようや、さらにひとまわり太い「マティスUB」を劇場版(一九九七)に用いていることから、庵野がこの書体にこだわりをもって使用しているのは明らかである。

てな記述にぶつかると、うれしくなります。

つい庵野明朝体へ話が傾いていってしまいましたが、この本自体は映画「犬神家の一族」で脚光を浴びた「市川崑明朝体」を探るということがベースになっています。
その本質を探っていくうちに映画自体だけでなく当時の印刷およびデザイン事情、明朝体そのものの歴史、あるいは文字が備えている性質など、いろんな要素が絡み合っていることが示されます。一般書向けという本ではないですが、文字やデザインに興味がある向きには一度手にしてもらってもいいでしょう。

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穂崎萬大。こすぎナイトキャンパス企画運営担当。本の燕居堂店主。

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